複数の請求書の金額を、まとめて直す方法はあるか
複数の請求書の金額を、まとめて直す方法はあるか

先月分をコピーして今月の請求書を10社分つくったあと、単価の改定が入って何社かの金額を直すことになる。あるいは発行したあとで明細の書き方の誤りに気づいて、同じ箇所を全部直すことになる。このとき、1件ずつ開いて直す以外の方法はあるのか。

主要な請求書サービスの公式ドキュメントを読んだ範囲では、複数の請求書の金額や明細をまとめて直す手順は見つけられませんでした。 各社の「編集方法」は1枚ずつの手順として書かれていて、一覧画面でまとめてできる操作は、直すこと以外のものが並んでいます。

この記事では、実際に何をすることになるのかを、公式ドキュメントの記述と手順の形で並べます。「一括編集という機能があるかどうか」は請求書を「一括編集」できるツールはあるかに、「一括作成と一括編集は何が違うのか」は一括「作成」と一括「編集」は別物にまとめてあります。

※ この記事の内容はすべて 2026年8月24日 に各社の公式サイト・公式ヘルプで確認したものです。比較サイトやアフィリエイト記事は根拠に使っていません。

この記事は請求書メーカー(複数の請求書を1画面でまとめて編集できるツール)をつくる過程で調べたものです。

公式ヘルプの「編集方法」は、1枚ずつの手順で書かれています

まず、各社が「編集」をどう説明しているかを見ます。マネーフォワード クラウド請求書の使い方ガイド「帳票の作成・編集・削除方法」には、編集の手順がこう書かれています。

「請求書一覧」画面で編集する請求書をクリックします。

表示された請求書の「編集」をクリックします。

請求書の編集画面で各項目を編集します。

編集が完了したら、編集画面の下部にある「保存」をクリックします。

1枚あたり4ステップです。 同じページの<ご注意>には、続けてこう書かれています。

複数の帳票を一括で編集することはできません。

同じガイドの「作成方法」の節には、作成の手段が「1枚ずつ作成する方法」「複製や変換で作成する方法」「CSVファイルをアップロードして作成する方法」の3通りと書かれています。作成には1枚ずつ以外の道が用意されているのに、編集にはそれがない。 これが各社に共通する構造です。

10社分の単価を直すなら、40回のクリックと10回の保存になります。1社あたりの手数が小さいので気づきにくいのですが、毎月発生すると、これが「毎月の請求書作成が終わらない」の実体になっていることがあります。

「CSVでまとめて直せるのでは」— ここは公式が明確に否定しています

CSVで一括作成ができるなら、直した内容のCSVをもう一度アップロードすれば上書きできるのではないか。これはいちばん自然な発想だと思います。実際に調べました。

マネーフォワード クラウド請求書の「帳票をCSVアップロードする方法」(更新日 2026年7月10日)の<ご注意>に、次の一文があります。

CSVアップロードを利用した帳票の一括編集はできません。

CSVアップロードは「作成」の機能であって、「更新」の機能ではない、ということです。同じガイドの本文も「CSVファイルをアップロードして複数の帳票を一括作成する方法についてご説明します」と、作成の説明として書かれています。

freee請求書の「帳票をCSVで一括インポートする」も、冒頭は「フォーマットで定められた情報を入力しておくことで、そのファイルから一括で書類を登録することができます」という書き方です。登録の機能として説明されていて、既存の帳票を更新するという記載は見当たりませんでした。

なお、freeeのCSVには「振込先上書きの有無」「振込先上書き内容」という項目があります。ただしこれはその帳票に載せる振込先の情報を、登録済みのマスタの内容から差し替えて出力するための項目で、すでに作った帳票をあとから書き換えるものではありません。「上書き」という語が出てくるので紛らわしい部分です。

一覧画面でまとめてできるのは、「直す」以外の操作です

一覧画面でチェックを入れてまとめて操作する画面は、どのサービスにもあります。そこに何が並んでいるかを見ると、境目がはっきりします。

サービス一覧画面でまとめてできること金額・明細は対象か
freee請求書送付ステータス・入金ステータス・支払ステータスの一括変更(全帳票で利用可)対象外
Misoca請求書一覧のボタンは「発行、複製、一括複製、仕訳送信、証憑管理に送信、ステータス変更、処理済、ごみ箱」対象外(編集ボタン自体がない)
board案件情報の一括変更(同時20件まで)。対象は担当者・受注ステータス・進捗状況・支払方法・和暦表示・案件区分・グループ・会計区分・タグ・TO・CC対象外

freee請求書のヘルプは、一括変更の対象を「送付ステータス・入金ステータス・支払ステータス」と明記しています。変えられるのは請求書の「状態」であって「中身」ではありません。

boardの一括変更は項目数が多く、一見すると内容も変えられそうに見えますが、並んでいるのは案件の管理情報です。公式ヘルプは「案件情報の一部の項目を一括で変更することができます。担当者の変更や案件区分・タグ等の整理でお使いいただくと便利です。」と、用途まで書いています。

Misocaで目を引くのは「一括複製」があることです。先月分をまとめてコピーする、という操作はできます。ただしコピーしたあとの金額を直す作業は残るので、次の節の①か②に合流します。

では、実際に取れる手段は何か

公式ドキュメントから読み取れる範囲で、現実的な手段は3つです。どれを選んでも、「直す」の部分は1件ずつになります。

手段何をするか向いている場面残る手間
① 1件ずつ開いて直す一覧 → 開く → 編集 → 保存 を件数分くり返す直す件数が数件のとき件数 × 4ステップ
② 複製してから直す前月分を複製(Misocaは一括複製)してから、変わった箇所だけ直す取引先も明細もほぼ固定で、金額だけ変わるとき複製は一括、修正は1件ずつ
③ 作り直す誤りのある帳票を削除し、直したCSVで一括作成し直す同じ誤りが全件に入っているときCSVを作り直す作業+削除の判断

②の複製で毎月まわす場合の手順は、毎月、金額だけが違う請求書を10社分つくる方法を各社で並べた記事にまとめました。この記事はすでに作った請求書を直す話で、そちらは毎月あたらしく10枚そろえる話です。

③には注意が要ります。削除できるかどうかは帳票の状態によって変わります。 freee請求書のステータス一括変更のヘルプには、申請・承認機能をオンにしていて「承認済」になっていない帳票は送付ステータスを変更できない、と書かれています。承認や仕訳連携が絡むと、単純に消して作り直すという運用が取れない場合があります。

またマネーフォワード クラウド請求書のガイドには、編集の注意として「マネーフォワード クラウド会計・確定申告に連携された仕訳の状態によっては、編集した内容が反映します」という記述があります。請求書を直すと、その先の会計側にも影響が及びます。 直す手段を選ぶ前に、自分の環境で会計連携や承認フローが動いているかを先に確かめるほうが確実です。

送ったあとは、そもそも直せなくなる場合があります

「まとめて直す」以前の話として、送信後の編集が閉じる仕様のサービスがあります。INVOYの公式ヘルプ「請求書や各帳票のメール送信方法」には、次のように書かれています。

メール送信機能は、各帳票1枚につき「1度のみ」ご利用が可能です。

メール送信を行った帳票は、送信後は編集が出来なくなります。

これはINVOY固有の仕様で、他社が同じとは限りません。ただし、送ったあとに直す運用を前提にしている場合は、契約前に確認しておく価値がある項目だと思います。直す方法を探す前に、そもそも直せる状態かどうか、という順番になります。

正直に書いておきたいこと

ここまでの話は「まとめて直せない」というだけで、各サービスの評価ではありません。

まず、作る側の効率化はどのサービスもよく作り込まれています。 CSVでの一括作成、定期請求の自動作成、一括送信、一括PDF出力。毎月の内容が変わらない商売であれば、これらで作業はかなり減ります。「まとめて直す」が必要になるのは、毎月の金額が変わる商売に限られます。

料金についても、無料プランで足りてしまう場合が実際にあります。Misocaの無料プランは請求書が月10通まで(見積書・納品書・領収書は無制限)、INVOYのFreeプランは公式ヘルプに「資金繰り表と口座自動連携以外の全ての機能がご利用いただけます」と書かれています。取引先が数社で、月の発行が10通以内なら、無料で回る可能性が高いです。

そして、各サービスは守備範囲が違います。会計ソフトは確定申告まで、クラウド請求書は郵送代行や入金消込まで担うものもあります。この記事は「複数の請求書をまとめて直せるか」という1点だけを見たもので、サービス全体を比べたものではありません。私たちは各社を業務で使い込んでいないので、操作性の評価は書いていません。書いてあるのは公式ドキュメントに載っていることだけです。

私たちがつくっているものの話

ここからは自分たちの話なので、興味がなければ読み飛ばしてください。

この整理は、自分の請求作業が発端でした。毎月、取引先ごとに金額だけが違う請求書をつくり、単価が変わるたびに何件かを開いて直す。探していたのは「まとめて直す」だったのに、見つかるのは「まとめて作る」と「まとめて送る」ばかりだったというのが出発点です。見当たらなかったので、自分で作りました。

請求書メーカーの一括編集モード。複数の取引先の請求書を1画面に並べて、その場で明細を編集できる
一括編集モードの画面。取引先ごとの請求書を縦に並べ、金額や明細をその場で直せる

やっていることは単純で、取引先ごとの請求書を1画面に並べて、その場で直せるようにしただけです。直したらまとめてPDFに出力します。一覧を閉じて次を開く、という往復が発生しません。

複数の請求書を、1画面でまとめて編集できるツールをつくっています

取引先ごとの請求書を1画面に並べて、その場で金額や明細を直せます。直したらまとめてPDFに出力。URLを開くだけで使えて、インストールもログインも要りません。月額はかからない買い切りで、インボイス制度の記載事項に対応したPDFを出力します。

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この記事で参照した公式ページ(すべて2026年8月24日確認)